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PCB
ポリ塩素化ビフェニル
無色ないし淡黄色の液体または固体
化学的に安定で燃えにくい
かつて電気製品のコンデンサやトランスの絶縁油、熱媒体、潤滑油、可塑剤、感圧紙のインクの溶剤などに用いられたが、環境汚染が激化したために各国で1980年頃までに生産と使用がほぼ禁止された。 しかし、現在でも廃棄物の焼却炉などでいくらかではあるが生成し、環境を汚染している。
世界全体ではのべ120万トン以上。 1954年~1972年における日本国内の生産量はのべ約6万トンである。
1968年に西日本一帯で発生したPCB中毒(カミネ油症)事件で見られた症状は クロルアクネと呼ばれる特有の皮膚障害が生じた。 すなわち、顔にニキビ状の吹き出物が生じ、皮膚やつめが黒く変色する。 また、頭痛、腹痛、疲労感、手足のしびれ、気管支炎、肝臓障害なども確認された。
この事件は、食用油の製造工程で熱媒体として用いたPCBがパイプの穴から漏れ出て食用油を汚染し、これを食べた多数の市民に被害をもたらしたものである。 経口投与の動物実験でも肝臓、腎臓および中枢神経系への悪影響が目立った。
職業的に吸入暴露を受けた労働者に、呼吸器障害、消化器障害、クロルアクネ、体重減少などが見られる。 経口投与の動物実験でも肝臓と胃腸の障害、貧血、皮膚障害などが観察されている。
油症患者に月経異常が見られ、職業的に暴露を受けた女性労働者に未熟児の出産が多いことが知られている。 またラット、マウスおよびサルヘの経口投与で妊娠率が低下し、特にラットでは精子の減少、またサルでは月経異常も見られる。
PCBで汚染された魚を多食した人の血液について、ある種の免疫担当細胞の減少が見いだされている。 またラットとウサギヘの経口投与で胸腺が萎縮し、サルヘの経口投与で抗体産生能力が低下する。 さらに実験動物への妊娠期間前後の経口投与によって新生仔の免疫機能にも悪影響がおよぶ。
PCBで汚染された魚を妊娠中に多食した母親から生まれた子どもに、知能と運動能力の低下が認められている。 例えば、アメリカのミシガン湖の汚染魚を妊娠中に多食してへその緒の血中PCB含量が増大すると、新生児の記憶能力か低下することが知られている。 またラット、マウスおよびサルについても、妊娠期間前後の経口投与によって新生仔に学習能力の低下や各種の行動異常が見られる。
ラットヘの経口投与で肝臓ガン、胆管ガンおよび甲状腺ガンが生ずる。 肝臓ガンはマウスでも確認されている。 一方、前記の油症事件の被害者のうち特に男子に肝臓ガンと肺ガンが多発した。 IARCはグループ2Aに指定。 またEPAはグルーブB2に指定し、吸入単位リスクを0.0001(実質安全大気中濃度は0.01[μg/m^3])、発がん強度因子を0.4、かつ実質安全飲料水中濃度を0.1[μg/ℓ]と算定。 なお、分子中に塩素原子を多く含むものほど発ガン性が強い。
これまでに世界全体で約40万トン、日本国内では約1500トンのPCBが、含有製品の使用・廃棄時に環境に放出され、その多くが分解されずに河川や土壌を汚染している。 特に生物濃縮が著しく、魚類では1万~100万倍におよぶ。
このため、ヒトは1日に主に食品から0.005~0.05[μg/kg]のPCBを摂取しているとみられる。 また母乳には飲料水安全濃度の100倍の10[μg/ℓ]ものPCBが平均で含まれている。 なお、わが国では電気製品に含まれる3万トン以上のPCBが未回収または未処理のままなので、それらに由来する新たな汚染の可能性も憂慮されている。
NIOSHの労働環境大気中許容濃度は1[μg/m^3]。 アメリカでは有害大気・水質汚染物質に指定。 またアリゾナ州では飲料水中許容濃度を8[ng/ℓ]に設定。 ストックホルム条約とバーゼル条約の対象物質である。
日本では劇物、化審法の第一種特定化学物質、労働安全衛生法の第一類特定化学物質およびPRTRの第一種対象物質に指定している。 また健康保護のための水質環境基準は”検出されないこと”とし、排水基準は3[μg/ℓ]、 食品の暫定許容基準は内海魚が3[ppm]、遠洋魚・肉類が0.5[ppm]、卵か0.2[ppm]などに設定した。
Last Update 2008/01/29
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